販売促進ノウハウ
公開日: 2018-03-06
知らなかったでは済まない!販促品のデザインは著作権に注意して取り組もう
簡単な操作で販促品が作れるWebサイトが登場し、これまでのようにプロでなければ制作が難しかった販促品も、より手軽に制作ができるようになりました。しかし、制作は簡単にできても、販促品のデザインには法規制があるので注意が必要です。
販促品のデザインに関連する法規制には「不当景品類及び不当表示防止法」(景表法)がありますが、法規制はこれだけではありません。意外に見落としがちなのが「著作権」です。著作権に違反してしまうと厳しい罰則を受けるのはもちろん、企業や商品のイメージダウンにつながりかねません。そのようなことにならないためにも、販促品のデザインに取り組む前に、著作権についてしっかり理解しておきましょう。
著作権とは?
私たちのまわりには、小説や音楽、映画など各種の制作物があふれています。それらの制作物は著作権という法律によって作者の権利が保護されています。保護する理由は、盗作などから作者を守ることで制作文化を発展させていくことにあります。無断で他者の制作物を利用することができれば、人気作はすぐに真似されてしまいます。それでは制作文化の発展は見込めません。
著作権は、簡単にいえば「他人の制作物を無断で使用してはならない」という法律です。わかりやすい例でいうと、販促品のデザインにおいてアニメのキャラクターや他社が作成したイラストなど他者が制作した作品を利用する場合は著作権を考慮しなくてはなりません。著作権には、盗作はもちろん、無断上映の禁止や無断譲渡(勝手に他者の作品を人に渡す)の禁止など、細かくルールが決められています。
著作権の違反には厳しい罰則がある
著作物に関する権利には「著作権(財産権)」と「著作者人格権」の2つがあり、具体的には以下のような権利が保護されています。
■著作権(財産権):著作物を無断で複製するのはもちろん、展示や頒布、上演など、著作物の無断使用を禁止するための権利。主に著作物を利用する際に発生する利益の保護を目的としており、権利自体を他社に譲渡することが可能です。
■著作者人格権:著作物を公表するかどうかを決める「公表権」、著作者の氏名(もしくは変名)を表示するかどうかを決める「氏名表示権」、著作物の内容や題号を無断で変更・改変することを禁止する「同一性保持権」などがあり、権利自体を譲渡したり相続したりすることはできません。著作者が死亡すれば、著作者人格権は消滅します。
著作権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などというように厳しい罰則が課せられるのです。また、法人などが著作権等(著作者人格権を除く)を侵害した場合は、3億円以下の罰金となります。
こうした違反事例のなかには、著作権を十分に理解しておらず、知らない間に著作権違反となってしまったケースもあります。しかし、当然のことながら、こうした場合であっても「知らなかった」では済まされず、厳しい罰則が課せられてしまいます。
著作権の観点からみた販促品デザインの際の注意事項
それでは、販促品のデザインの際に著作権にふれないようにするには、どのような点に注意すればいいでしょうか。
最も大切なのは、「他者の作品を無断で使用しない。使用する場合は必ず了解をとる」という基本ルールを徹底して守ることです。そして、デザインの際に、下記の事項に違反していないかを確認する習慣をつけましょう。
■作者の了解なしに公表することにならないか
■作者の了解なしに作者名を公表していないか
■作者の了解なしに作品を変えていないか
これらの基本ルールを守ることで、ほとんどの著作権違反から回避できるでしょう。販促品のデザインで著作権の対象となりやすいのは、アニメ等のキャラクターやイラスト、写真などが挙げられます。これらの素材を利用する場合は、特に上記のルールをしっかり確認するようにしましょう。
チラシをそっくり真似して作った場合は著作権違反?
基本ルールを守っても、著作権の違反になってしまうケースもあります。なかでもよく聞かれるのが「チラシをそっくり真似して作ったら著作権違反となるのか?」という質問です。
結論からいうと、これは著作権違反となる可能性の高いケースといえます。デザインの際に、他社の広告を参考にすることも多いでしょう。しかし、デザインやコピーがあまりに類似してしまうと、著作権の侵害となる可能性があるので注意が必要です。
フリー素材を利用しても著作権違反になる?
フリー素材をデザインの際に重宝している人も多いでしょう。しかし、フリー素材だからといって、どのように使ってもいいというわけではありません。
フリー素材は、文字通り著作権フリーの素材です。しかし、先述したように著作者人格権という権利も著作権には保護されており、著作権を譲渡(または放棄)したからといって著作者人格権は作者にあります。そのため、著作名を記載しないことで、著作権侵害に問われるケースがあるのです。
こうした事態にならないよう、フリー素材を利用する場合は必ず利用規約を確認することが重要です。「商業利用の場合は有料」、「著作者名を広告内のどこかに記載すること」など、規制がある場合も多いので注意が必要です。提供元が不明なフリー素材は初めから利用しないほうが無難でしょう。
注意しておけば安心してツールをリリースできる
著作権は、基本的なルールを守れば大部分は回避できます。しかし、他社の広告との類似性、フリー素材の利用は、知らない間に違反となってしまうケースもあるので注意が必要です。著作権をしっかり理解し、安心してツールをリリースできるようにしましょう。