消費者キャンペーンは基本的に、「プレゼントをあげる系」の企画が一般的です。
消費者に特典を提供し、顧客の満足度を向上させる目的があります。ただ、漠然と顧客満足度の向上だけをイメージしていては、販促につながるキャンペーンの企画は立てられません。
このようなキャンペーンには、「なぜ、今キャンペーンを実施する必要があるのか?」という目的・目標を設定することが重要なのです。目的・目標が設定されないままキャンペーンを続けてしまうと、単にモノをバラまくだけの結果に終わってしまいます。
また、キャンペーンの実施結果から、費用対効果をしっかりと分析する必要もあります。実施後の分析をしなければ、目的・目標が達成されたのか把握できませんし、キャンペーンを継続していくかどうかの判断もできません。
ここでは、キャンペーン企画の進め方についてのポイントと有名キャンペーンの事例をあわせて解説します。
消費者キャンペーンの実施には、さまざまなポイントがあります。ターゲットに訴求できる企画内容はもちろんのこと、キャンペーン期間中の運営や、実施後の評価・分析など、そのポイントは多岐にわたります。
それでは、キャンペーン実施の流れを順に見ていきましょう。
キャンペーンは、モノのバラまきで終わってしまわないよう、目的と目標を設定したうえで企画を立てなければなりません。
「季節需要を促進させるため」「閑散期に売上の底上げをするため」「競合他社に打ち勝つため」などが主な目的です。「キャンペーンの対象となるターゲットの設定」についても、目的に合わせ決定します。
また、サービスの利用者や来店者に、もれなく賞品を提供するベタ付けの企画にするのか、抽選の結果、厳選された利用者・来店者だけに賞品を提供するのかによっても、企画の内容は異なります。
キャンペーン実施後に、その目的と目標が達成できるかどうかを、企画段階から意識することが重要です。
キャンペーンの告知ツールには、チラシやポスター、店頭POPやWebなど、さまざまなものがあります。
効果的にキャンペーン告知を行うためには、ターゲットとなる消費者と最も相性の良いメディアを選定しなければなりません。
また、誰もが手に取ったり、目に触れたりすることができる告知手段を選ぶのか、購入した商品にだけ告知を同梱するのかによっても、告知効果は分かれます。
一般的に、購入者のみに限定した告知の場合は、そうでない場合と比べて、反応率が良くなる傾向にあります。
当選賞品の選定も、キャンペーンの目的・目標の達成を意識したものを選びます。
新たな顧客獲得のために、幅広いターゲットに訴求できる賞品を選ぶのか、客単価向上のため、リピーターの商品購入やサービス利用につなげる賞品にするのか。もしくは、商品やサービスのファン層に対して、満足度の向上を狙った賞品にするのか。企画段階で設定した目的・目標を達成するために、最適な賞品を選定します。
応募フォームは一般的に、ハガキやWebを活用します。告知ツールと同様、ターゲットとなる消費者と相性の良いメディアを選びます。店舗での集客が中心の場合は、店頭での応募受付も効果的です。
また、Web応募の場合は、応募フォームから送られた情報を直接データベースに登録するような仕組み作りができるので、その後のマーケティングにも活かしやすくできるというメリットがあります。
基本的に、消費者キャンペーンでは、消費者からの応募があります。そのため、アンケートやコンテストの応募を受け付けるために、キャンペーン事務局を設置しなければなりません。事務局は、応募受付だけではなく、応募情報の管理や、電話やメールによる問い合わせ窓口、景品の発送手配など多岐にわたります。
個人情報を扱うことになりますので、セキュリティにも十分に気を配る必要があります。自社にそういった環境が整っていない場合には、事務局代行会社へ依頼したほうが効率的になります。
キャンペーンは、「実施して終わり」ではありません。消費者からの貴重な反応が返ってきますので、キャンペーン実施後の詳細な分析こそが重要なのです。
企画の立案時に設定した目的・目標がしっかりと達成できたかどうか、キャンペーンの結果レポートから分析します。そうすることで、企画自体の評価はもちろんのこと、今後のキャンペーンに向けたフィードバックも可能となります。
キャンペーンは継続的に行う場合が多いため、分析・評価を行い、内容や質を高めていくことが肝心です。
また、Webと連動したキャンペーンなら、Webサイトを訪れたユーザーの動向が分析できるアクセス解析の活用が欠かせません。それにより、消費者が応募に至るまでの導線の分析ができます。また、キャンペーンに興味を持ったものの、応募には至らなかったといった消費者の動向など、より詳細な分析が可能となります。
消費者キャンペーンには、多くの手法があります。また、活用できるツールもさまざま。ここでは、キャンペーン企画立案のヒントとなる、他社事例をご紹介します。
「毎日買うものだから、生活のなかに楽しみを見つけたい」そんな消費者の楽しみを販促に活かしたクローズドキャンペーンです。
キャンペーンの参加方法は、「シールを集めてハガキに貼って応募」という最も一般的な手法。
点数シールは、ヤマザキが指定する対象商品に貼り付けられています。商品購入後、すぐにキャンペーンに応募できるわけではなく、シールを集めてもらうために、継続的な商品の購入を促している点がポイントです。
また、「ヤマザキ春のパン祭り」というネーミングは消費者にもしっかりと浸透しています。継続することで、イメージ戦略的にも成功しているキャンペーン事例です。
賞品はアンケートに回答するだけでもれなくもらえるものと、定期的に実施されるアンケートにすべて回答した人だけがもらえるものと、2つのタイプが用意されています。気軽に参加できて賞品がもらえるベタ付け型のキャンペーンと、より魅力的な賞品を狙って、定期的に参加できる抽選型のキャンペーンの両方を実施している事例。アンケートへの回答という行動を消費者が負担しますので、その分、満足度の高い賞品を選ぶことがポイントです。こうしたアンケート回答タイプのキャンペーンでは、マーケティングデータを収集できるメリットがあります。
Webの技術を活用した、エンターテイメント性の高いキャンペーンです。
定番のウィンターソングの歌詞がラベルに印字された商品を販売。ラベルに記載されたQRコードをスマートフォンやタブレットで読み取ると、その曲が実際に聴けるという企画です。
さらに、SNSでシェアできる企画も連動していることから、幅広く拡散する仕組みも活用されています。
また、動画の活用もポイントのひとつ。歌詞に合わせてサンタクロースの口が動く「ハッピーサンタムービー」の動画を再生できます。サンタクロースと一緒に歌うことで、楽しみがアップする企画です。
コカ・コーラ社は昔からこの時期になるとテレビCMにたびたびサンタクロースを登場させています。季節感とエンターテイメント感が演出されているだけではなく、サンタクロースと連動することでブランディングにも寄与しているのではないでしょうか。また、動画やスマートフォンの特長を活かすことで、企画の幅がとても広くなっているのもポイントのひとつです。
キャンペーンの目的は、単純な顧客満足度の向上だとイメージしている人も多いのではないでしょうか。しかし、その顧客満足度も、「ターゲットの応募状況はどうだったのか?」「キャンペーン実施の結果、売上にどんな影響が出たのか?」「前回のキャンペーンを上回る結果が出ているのか?」といった数値結果を評価しなければ、キャンペーンの成果が出たかどうかの判断ができません。
また、顧客満足度向上の結果、それが販促に結びついていなければ、単なるモノのバラまきで終わってしまいます。
キャンペーンを企画立案する際には、実施の目的・目標をしっかりと設定したうえで、告知方法、特典の種類、運用方法など、事前の準備を事細かに設計することが欠かせません。そうすることで、実施後の結果レポートから、キャンペーンの評価を正しく行うことができます。
目的の設定とキャンペーンの実施、実施後の分析・評価といったサイクルがしっかりと機能していれば、顧客満足度はもちろんのこと、販促の結果もしっかりと伴ってきます。
目的・目標の達成こそが、キャンペーン実施の意義です。それを意識した企画の立案を心がけましょう。