生活者の消費マインドが多様化しマスプロモーションの力が衰えているといわれているなかで、従来と同じ販売手法を踏襲していくだけでは企業が目標とする売上高を達成することは年々難しくなっています。こうした状況のなか、生活者の購買行動や生活意識の変化を正しく理解することは製品のマーケティング戦略を立てるうえで非常に重要なことといえるでしょう。
マーケティング戦略を実行するうえで、効果的なプロモーションを企画し実行することは不可欠です。効果的なプロモーションを行ううえではマス広告や店頭における施策など、ターゲットとの接点をあらゆる方向からつなぐマルチチャネルを意識した緻密な販促計画を立案し、実行していく必要があります。今回は年間の売上目標を達成するために必要な具体的かつ効果的・効率的な販促企画立案の方法を考えてみましょう。
あなたは自社の製品やサービスのターゲットの行動をどこまで把握されているでしょうか? インタビューやアンケートなどで得られた詳細な調査結果を読み込んで充分に理解しているつもりでも、意外と掴めていなかった動向が存在しているかもしれません。ターゲットも含め、我々の日常生活の購買行動に影響する要因はさまざまです。日常的な必要性だけではなく季節や年中行事などもその大きな要因の1つとなります。例えば、「中学生の男の子と小学生の女の子を持つ神奈川県に住む4人家族」がターゲットだとしましょう。この場合、大型連休には家族で旅行に行くかもしれませんし、定期試験の前後では成績に対する意識が高まっているかも知れません。受験を控えていれば食生活や健康管理、家計に対しても普段よりは気になるようになるでしょう。このように季節や年中行事からターゲットの行動(ライフサイクル)を俯瞰するとさまざまな可能性が見えてきます。
では、そのターゲットのライフサイクルを具体的に把握するうえで必要な要素を具体的に考えていきます。ターゲットがBtoCの生活者なのか、BtoBのビジネスターゲットなのか、その分類によって要因は変化してきますが、両者ともにライフサイクル分析は重要です。今回はBtoCのターゲットのライフサイクル分析の要因を考えていきます。日常生活を構成する柱は大きく以下の5つに分類できます。
ターゲットが富裕層なのかそれとも一般家庭なのかなど、ターゲットによって購買に費やせる金額は変わってきます。ライフプランを元にマネープランを作成し的確に収支のバランスをとっていくことが求められることから、家族のライフステージで使えるお金は変化をしてきます。
「家庭」というセグメントをさらに細分化すると「家族構成」の図式が現れます。子供の年齢や進学・就職、親の異動や転勤・転職などさまざまな要因が考えられます。例えば、日系企業であれば異動や転勤のタイミングは、半期と年度末の前後などに集中します。
帰省による親族の付き合いや冠婚葬祭などが当てはまります。そのほかにも年末年始は会社づきあいの飲み会が多かったり、学生であれば部活やサークルなども人間関係に分類されます。
各地域における催事が該当します。このセグメントは毎年ほぼ同じタイミングで同じような催し事が開催されるケースが多いため、比較的把握しやすいライフサイクルといえます。ただし、○○周年や××記念のように、突発的に規模やタイミングが変わる可能性もあるため注意が必要です。
このように、ターゲットの生活を構成しているさまざまな要素と季節や年中行事を掛け合わせることで、具体的な生活スタイルが可視化されてきます。
これまでにお伝えしたターゲットのライフサイクルに関する情報を可視化してチームメンバーと共有することは非常に有用です。上記の1~5に関する情報を効率的に入手できるツールとして、Yahoo!JAPANの販促カレンダーがあります。このカレンダーツールの特長は、生活者に関連する年中行事が網羅されているだけではなく、各地域特有の催事も確認できる点です。東京で生活していて、東京に本社を置く会社で働いている場合、地方都市の情報はなかなか把握できないのが実情です。このツールは、そんな課題を解決してくれます。
ターゲットの購買行動を正確に把握することは、プロモーションの効果を最大化させ、販売目標を達成するための土台となります。生活者の生活様式や購買行動は多様化していますが、時季と連動した購買行動は、依然として大きな流れとして存在しています。一覧として整理することで、具体的かつ効果的な販促企画を立案することができるでしょう。