プロモーションの企画を立てる際に、ツールや手法といった戦術から考え始めてしまう販促担当者は少なくありません。しかし、最適なプロモーションとは、提案先のクライアントの解決すべき課題を知ることにあります。つまり、戦略をしっかりと見極め、課題解決にもとづいた戦術に落とし込むことが重要なのです。
こうした課題の解決を実現するマーケティング戦略の立案に欠かせないのが、SWOT分析です。ここでは、プロモーション企画立案の際に活用すべき、SWOT分析について解説します。
SWOT分析とは、クライアントの持つ強みや弱み、機会や脅威を俯瞰的に分析できるビジネスフレームワークです。
クライアントの現状を分析することができるだけでなく、クライアントを取り巻く環境が及ぼす影響も分析できます。現状が把握できれば、プロモーションの企画立案に欠かせない、より的確なコンセプトが打ち出せるでしょう。
強み=Strength、弱み=Weakness、機会=Opportunity、脅威=Threatの4つの分析指標それぞれの頭文字を取り、SWOT分析と呼ばれています。
販売促進のプロモーション用のツールや手法にはさまざまなものがありますが、必ずしもクライアントが持つ強みと消費者のニーズを有効に結びつけるものばかりではありません。
販売促進施策のモデルケースやプロモーションの成功事例が、クライアントの強みとマッチしていなかったり、ターゲットとする消費者のニーズを掴めなかったりすると、その施策効果が思い通りに現れないケースが多いためです。
具体的にどのようなプロモーションが最適解となるかは、クライアントが取り扱っている商材の種別によっても、また、プロモーションに投下できる予算によっても異なります。こうした手探り状態のプロモーション企画・立案から脱却し、限られた予算のなかでプロモーションの効果を最大化するためには、SWOT分析による戦略立案が欠かせません。
「クライアントが発揮できる最大の強みは何か?」を把握することで、より消費者に好まれ、競合他社にも打ち勝つプロモーションが展開できるでしょう。また、競合よりも魅力負けしている部分に予算を投下してしまうリスクも回避できます。
さらには、活用することでプロモーションを成功に導く外部要因を機会と捉えることで、プロモーションの効果を最大化でき、放置しておくとプロモーションに悪影響を及ぼす外部要因を脅威と捉えることで、プロモーションが失敗するリスクを事前に把握することができます。
SWOT分析を活用したプロモーション企画立案の手順は以下の通りです。
縦2行、横2列のマトリックス内に、強み・弱み・機会・脅威の4つの見出しを記入します。
4つの指標に対し、クライアントの現状を書き出します。
例えば、強みの指標には、「ブランド力が競合他社より勝っている」「安定した仕入れルートを持っている」など。弱みの指標には、「IT活用において後れを取っている」といった具体的内容を書き込みます。機会の指標には、「メーカーとの協業によって新規商材の開拓が進んでいる」、脅威の指標には、「規制緩和が進んでいて競合の参入が見込まれる」などのような現状を書き込みます。
現状を俯瞰的に捉えながら、各指標から戦術を導き出します。先に挙げた例なら、強みを活かすために、ブランドを前面に押し出しながら、仕入れルートの強みを活かした戦術を打ち出すといいでしょう。
また、弱みであるITへの試みは控え、アナログのプロモーションを展開する戦術を立てます。さらに、新規商材への展開を視野に入れながら、競合の参入前に、大規模なプロモーションで確固たるシェアを確立するなどの戦術を導き出します。
各戦術から、プロモーションの戦略となるコンセプトを打ち立てます。さらに、そのコンセプトから方向性がぶれないよう、企画の立案を進めていきます。そうすることで、プロモーションのコンセプトにひもづいたツールが選定でき、最適な予算を配分することができるでしょう。
結果として、方向性が定まらず手探りで企画を立案してしまうという、非効率な方法からの脱却ができます。
ロモーションのツールや手法は無数に存在するため、手探りや肌感覚、他社事例にばかり頼っていては、コストが無駄になるばかりでなく、時間も労力も余計に費やしてしまうことになります。
プロモーション実施の効果を最大化するだけでなく、競合他社に負けることなく、コストパフォーマンスを最適化できるマーケティング手法がSWOT分析です。プロモーション企画立案の手法に悩んでいる方は、一度試してみてはいかがでしょうか。