営業効率を向上させるなら意識したい!ブランディングと販促効果の関係とは?
マーケティングリサーチの用語で、「純粋想起」という言葉があります。例えば、「日本の有名な観光地は?」と聞かれると、ほとんどの人は浅草や京都などの有名な地名を思い浮かべるのではないでしょうか。このように、純粋想起とはヒントが与えられずに答えた結果を指し、企業活動においてはブランディングが大きく結果を左右します。つまり、人々の脳裏に刷り込まれたイメージが、質問によって呼び起こされているわけです。これは、企業や商品のイメージの想起でも同様です。
では、どのようにして、企業はブランディングに取り組めばよいのか、その手法をいくつかの事例から考えてみます。
ブランディングについて考えるにあたって、まず覚えておきたいのは、ブランディングに企業規模や業種は関係がないということです。確かに、ブランディングの成功事例として登場する企業やプロダクトは、世界的にも有名な企業が多いでしょう。しかし、それは多くの読者が理解しやすい例として取り上げられているのです。
もし、あなたがブランディングはグローバル企業にのみ関係することで、自社には関係ないと考えていたならば、それはとてももったいないことだといえます。ブランディングの目的は、自社のステークホルダーに対して、ポジティブなイメージを与えること、そして特定のカテゴリーの中で1番になることです。
こうした小規模企業のブランディング事例としては、新潟県三条市に本社を置く諏訪田製作所があげられるでしょう。同社は最低価格の商品が、6千円という高級爪切りや刃物を扱っている企業。会社の従業員は、50名程度にすぎませんが、「世界のSUWADA」としてその商品は世界的に評価されています。同社がここまで評価を高めた秘訣は、展示会を通じて地道にブランドを認知してもらったことにあるのだとか。はじめは見向きもされなかった「切れ味」という商品の特徴を、時間をかけて受け入れてもらったのです。
ブランディングにおいて、最も大切なのは差別化です。どんな商品にも、強みはあります。例えば、「値段が安い」商品には、お客様が買いやすいという強みがあります。また、「機能が少ない」商品なら、シンプルで使いやすいという強みがあるといえるでしょう。
競合他社と比べた場合の強み(USP)を見つけることは、ブランディングの第一歩です。そして、次にその強みでどのように競合他社と戦うのか、お客様に認めてもらうのかを考えます。先の諏訪田製作所のように、はじめからその強みを受け入れてくれる環境がない場合がほとんどです。それでも諦めずに、地道に強みを伝える活動を続けていくことが、ブランディングを成功させる一歩といえるでしょう。
とはいえ、「うちは零細企業で知名度が低い」「商品が平凡」などの理由から、そもそも強みなどないと考える方もいるかもしれません。しかし、強みは意外な方法で見つかるのです。
例えば、価格が安いというのは、コストパフォーマンスが良いという側面を持っているかもしれません。知名度が低くても、知名度が高い取引先を多く持っている場合もあるでしょう。
売り込み先を変えてみることも効果的です。法人の需要がなくても、意外なところで、個人の需要がある場合も多いのです。今、自分たちが持っているリソースを棚卸しし、整理してみると、意外な強みが見つかる場合があります。
ブランディングは、時間を必要とするもの。すべてのお客様に商品の強みを知ってもらうのは、一朝一夕に叶うことではありません。そのため、まずは限られた小さな範囲で一番になることからはじめてみましょう。
例えば、担当エリアのなかで、“10歳以下の子どもが二人いるファミリー層にとっては一番人気がある”というポジションを確立するなど、小さな単位でお客様に認められることを考えてください。そのカテゴリーで、ブランドを確立してから、その後拡大する作戦です。限られたお客様に対して、ブランディング活動を行っていれば、日々、さまざまな課題が見えてくるはずです。それを1つひとつ解決していくことで、すこしずつブランドが構築されていくのです。
ブランディングとは、自分の尖った部分を見つけ、それをいかにしてお客様に認識してもらうかということに尽きます。その手段が、あるときは広告であり、ノベルティであり、セミナーであり、DMであり、となるわけです。営業活動にも効率化が求められる時代です。従来のように、より多くのターゲットに対して均一なメッセージを伝えるのではなく、限られたセグメントの中で一番になることを目指せば、アプローチする手法も変わってきます。
とるべきポジションを明確にすることで、効率的な営業、販促活動につながるのではないでしょうか。