販売促進活動の成否は、「どれだけ成果があったか」ではなく、「どれだけの費用をかけて、どれだけの成果があったか」にあります。成果が高くても獲得コストが見合わなければ、その販促活動は成功したとはいえないでしょう。販促活動は費用対効果を高めることが重要なのです。
費用対効果を高める方法のひとつに、「エリアマーケティング」があります。文字通り、地域を限定して活動していくマーケティング手法です。ここでは、エリアマーケティングで、販促活動の費用対効果を最大化させるための方法を具体的に解説していきましょう。
エリアマーケティングとは、端的にいえば「営業活動や販促活動などを投下する地域を限定する」マーケティング手法です。ターゲッティングというと、性別や年齢で分けるのがスタンダードですが、地域でセグメンテーションしていくのがエリアマーケティングです。
では、なぜエリアマーケティングが販促活動の費用対効果を高めるのでしょうか。それは、最も成果が上がると思われる地域に活動を限定するという方法を取るからです。マス的なアプローチでは、地域事情にかかわらず同一の販促活動をしていきますが、エリアマーケティングでは、地域を限定して販促を仕掛けるのでコストを抑えることができます。そして、成果の高い地域で販促活動をするため、高い費用対効果が期待できるのです。
エリアマーケティングは、地域を限定していくマーケティング手法だと述べました。そのため、どの地域に限定するのかが、最も重要な選択となります。
まずは、自社の商圏を、人口、年齢、世帯数、競合店数など、細かくチェックしていきましょう。地域の特有の風土、文化まで踏み込んで調べていけば、それが販促ネタに使える可能性があります。徹底した商圏分析から、最も自社のターゲットが多い地域を抽出していきます。
販促活動を行うべき地域を特定できたら、ターゲット像を明確化していきましょう。明確化することで、ターゲットに届く媒体や、刺さりやすいメッセージを制作しやすくなります。「30代 男性」といった無機質なターゲッティングではなく、「30代 男性 IT会社勤務 購読紙はPRESIDENT」といったように、人物像を深く掘り下げていくことで、さらにターゲットを深く理解できるようになるでしょう。
メッセージ作りとは、自社商品の何を訴求していくかを決めることです。事前に設定したターゲット像にあわせて、メッセージを制作していきましょう。例えば、ある自動車販売会社では、20台女性の多い地域ではコンパクトカーを、ファミリー層が多い地域には家族で乗れるミニバンを訴求するといったように、メッセージ内容を変えて販促活動を行っています。
メッセージは当然ながら媒体という舞台があって初めてターゲットに届きます。エリアマーケティングで用いられる主要な媒体の特性を紹介していきましょう。
配布する地域を限定できるため、エリアマーケティングでは最もスタンダードなツールといえるでしょう。主に家庭の主婦層がターゲットとなります。定期的に実施している企業や店舗も多いと思いますが、効果的なメッセージを探りながら、配布するエリアや発信するメッセージを定期的に見直すことが重要です。
折込チラシと比較して、より細かくエリアを分けることができるのが特徴です。例えば、ファミリー層の多い戸建てや、一人暮らし向けのマンションのみに限定する、といった区分けが可能なツールです。効果を上げるためのポイントは、デザインやコピーライティングといったクリエイティブ。ターゲット像が明確化されていれば、刺さるキャッチコピーやデザインが作りやすいでしょう。
郵便局が行っている地域限定郵便で「タウンプラス」という名称で展開されています。他の媒体と比較して少々コストは割高になりますが、郵便局員の方が投函してくれるので、確実に届けることができるという特徴があります。ポスティングが禁止されているマンションや、離島、山間僻地などにも送付ができます。丁目単位でセグメントできるので、エリアをさらに絞りたいときにも有効でしょう。郵便局員が制服で配達に向かうので、配達先に安心感を与えることができます。
地域に根ざした情報誌や地域新聞への広告掲載も有効です。当然ながら、公民館や図書館、スーパーマーケットなど、ターゲットの導線上にある媒体を使用することがポイントになります。ターゲット像を明確にしたうえでライフスタイルをシュミレーションし、そこにマッチする媒体を選択していきます。
かつては潤沢に販促活動に予算を費やしていた時期もありましたが、現代では限られた予算のなかで販促活動をしている企業がほとんど。これから販促活動に対する費用対効果はますます厳しく要求されていくのではないでしょうか。費用対効果を高めることができるエリアマーケティングは、そんな現代にマッチしたマーケティング手法なのです。