販促活動の成果を高めていくためには、効果の高い施策により多くの販促予算を投じていくことが重要です。それは、ノベルティの活用においても同様です。効果の高い施策に注力することで費用対効果が改善されます。
販促活動には、新規客の獲得を目的とした施策と、既存顧客の囲い込みを目的とした施策があります。2つの施策に同等の予算を割くよりも、より効果的と思われる施策に予算を多く配分していきましょう。
それでは、新規客の獲得と既存顧客の維持では、どちらが効果的と言えるでしょうか?
多くの企業が新規客の獲得に多くの予算を割いているのではないでしょうか? しかし、新規客に購入してもらうより既存顧客に購入してもらうほうが、より少ない投資で購買を促進できるため、費用対効果の面で有効と言えます。
既存顧客の囲い込みと新規客の獲得は、どちらも企業にとって必要です。しかし、問題となるのはどちらに重点を置いて予算を配分し、施策を投下していくかです。
マーケティングの法則のひとつに「5:25の法則」というものがあります。これは、顧客離れを5%改善すれば、その利益率は25%改善されるという法則です。
また、「1:5の法則」というのもあります。これは、新規客を獲得するためのコストは、既存顧客を維持するためのコストの5倍かかるという法則です。つまり、これらの法則が意味するところは、同じ予算を投資するなら既存顧客の囲い込みに使ったほうがより効果が高く、利益率も改善されると言えます。
ところが、実際には既存顧客を囲い込むことの重要性が十分に理解されていないケースも多いようです。そのため、新規客の獲得に予算を使いきって既存顧客向けの施策に予算を回す余裕がなかったり、既存顧客は「釣った魚」なのだからエサをやる必要はないという極端な方針をもっている企業もあったりすると言います。しかし、法則の示すとおり、既存顧客の獲得に予算を多く配分したほうが費用対効果を高めることができるケースは少なくないのです。
既存顧客とのエンゲージメントを高めていくことは、費用対効果を高めるだけでなく、ほかにもさまざまな価値を企業にもたらします。
◇ 生涯顧客価値(LTV)
生涯顧客価値とは、一人の顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益を指します。既存顧客の維持を重視することは、この生涯顧客価値を高めることだとも言えます。企業にとって、一度きりの購入よりも何度もリピートして購入してもらえるほうがよいのは言うまでもありません。また、「1:5の法則」でみたように、新規客の獲得よりも顧客を維持するほうが投資負担を軽減できるのです。
◇ 紹介価値
商品に満足してもらえれば、別の見込み客を紹介してもらえる可能性があります。商品に満足している顧客からの紹介であれば、新規客に対しても商品のポジティブな面をアピールすることができるでしょう。
◇ 口コミ価値
良い口コミは、見込み客の購買を大きく後押しします。口コミは、インターネットの発達によりその影響は広がりました。なかには、口コミの評判をみてからでないと購入を決断しないという人もいます。既存顧客が満足するための施策を投下していくことで、口コミによる宣伝効果も期待できるのです。
これまでみてきたように、既存顧客の囲い込みは販促成果を高める効果があります。それでは、実際にノベルティをどのように活用していけば、既存顧客の維持に効果があるのでしょうか。ここでは、既存顧客向けのノベルティ活用方法の例を紹介していきましょう。
ひとつめの例は、リピート購入への謝礼としてノベルティを活用していく方法です。例えば、購入金額に応じて、より高額の購入をしてくれたお客様には豪華なノベルティを提供していくやり方があります。より豪華なノベルティへと誘導することで購入金額のアップを狙うことができます。
ふたつめは、購入を条件とせずにノベルティを提供し、顧客離れを防止する方法です。例えば、定期的にノベルティを同梱してDMを送付するというやり方があります。購入を条件としないため実施には勇気が必要かもしれませんが、顧客離れの防止が中長期的には企業に大きな成果をもたらすことを考えると、決して無駄な投資とは言えないのではないでしょうか。
既存顧客の維持を重視することは、新規客の獲得に対して獲得コストも軽減でき、かつ、利益率の改善をもたらします。また、既存顧客には、生涯顧客価値、紹介価値、口コミ価値といった価値もあります。新規客の獲得も企業にとって重要ですが、中長期的にみれば既存顧客を重視したほうが費用対効果は高いと言えます。ノベルティの活用においても、積極的に既存顧客に予算を配分していきましょう。