当然のことですが、販促施策は達成したい目的があって実行されます。せっかく予算を投下して施策を実施しても、その目的が達成できなければ、実施した意味がなくなってしまいます。そのため、販促手法を選定するにあたっては、その手法の「効き目」を考慮して、目的をクリアできるものを選ぶ必要があるのです。
ターゲットや展開場所など、多くの時間を費やしてきめ細やかに販促戦略を計画しても、肝心の手法の選定を間違えてしまえば、その戦略は水の泡となります。例えば、新規顧客を獲得したいのに、既存顧客のリピートを促すような手法を選定してしまっては、その効果は半減するでしょう。ここでは、そのような手痛い失敗をしないためにも、目的別に販促手法を体系化することで、戦略に応じた手法を選定できるようにしました。
販促活動は、目的をもって実行されます。しかし、そもそも販促の目的とは何でしょうか。
販売促進は「購買の直接的な動機づけを中心とするマーケティング活動」と定義することができます。商品開発や広告など、販売のためのさまざまなマーケティング活動が行われた後、最終的に購買を直接的に促すのが販促の目的です。
「直接的な購買動機付け」という目的も、求める成果に応じて、さらに三つの目的に分解できます。
一つ目は、「新規顧客の開拓」。これは文字どおり、まだ商品を購入したことのないお客様に買っていただく施策です。販促では、この目的のもとで実施されるケースが多いようです。「今、買う理由」を提示する販促は、試し買いを促す力がほかのマーケティング活動に比べて強力といえるでしょう。
二つ目は、「まとめ買いを促す」という目的で、主に既存顧客向けに実施されます。栄養ドリンクなど、一度に複数個の購買が見込まれる商品では、有効な販促活動が実施できるでしょう。
三つ目は、既存顧客向けの販促活動である「リピート購入の促進」。購買や来店頻度に応じてポイントがつくポイントカードをイメージしていただくと分かりやすいのではないでしょうか。サプリメントなど、継続的な購入が見込まれる商品には、特に有効な施策。現代は、どの商品でも市場が成熟している傾向があり、新規顧客の獲得が難しくなっています。そのような状況のなかで、既存顧客のリピート購入を促すのは、重要な戦略といえるでしょう。
緻密に計画された戦略も、手法の選定を間違えてしまえば、狙いどおりの成果は出せません。目的を明確にしたら、どのような手法が目的達成に効果的かチェックする習慣をつければ、このような間違いは起きにくくなります。ここでは、「新規顧客の開拓」、「まとめ買いの促進」、「リピート購入の促進」という三つの目的に分類して、それぞれの目的に対して有効な手法を整理していきましょう。
まだ商品を購入したことがない人が対象なので、実際に商品を体感してもらって、その魅力を訴求していく手法が適しています。まずは、無料で試してもらい、購入へと進んでいただくというステップを用意するといいでしょう。
商品のミニサイズ版などを無料で提供する「商品サンプルの配布」は代表的な手法です。ほかにも試してもらう手法は、スーパーの試食イベントのような「デモンストレーション」があります。そして、商品を体感してもらって、その意見を聞くことができる「商品モニタリング」も効果的でしょう。
期間限定で「クーポン」を発効する、新規顧客限定で割引するなど、価格的なメリットを提示する手法も良い選択でしょう。「今だけ〇〇割引!」といった制約付きでオファーを提示することは、試し買いへの後押しとなります。ただし、この手法を乱発すると、通常価格では購入されなくなるので、使い方には注意が必要です。
試し買いへの後押しとして、期間限定のインセンティブを用意するという方法では、「ノベルティ」などのプレミアムを利用するのも効果的です。その場合、1回の購入で応募できる懸賞企画や、買ったら必ずもらえるなどの、即効性のある仕組みにすることが肝要です。
単体で購入するよりも、まとめて購入する方が得であることを動機付ける必要があります。代表的な手法としては、「セット購入による割引」です。単体を複数購入するよりも、セットでまとめて購入する方がお安くなるというのは、まとめ買いを促すための手法の王道といえるでしょう。
セット購入によるお得感を演出するためには、価格メリットだけでなくノベルティを利用した「プレミアム手法」もおすすめです。複数個の購入で必ずノベルティがついている、その場で抽選に参加できるなど、まとめ買いをすることでインセンティブがもらえるというお得感で購買を促すことができます。
ノベルティの選定にあたっては、ほかではなかなか手に入らないものなら、より購買意欲をかきたてられるでしょう。商品をまとめるための容器自体をノベルティとするのもひとつのやり方です。例えば、飲料であれば、お出かけに使えるバッグに商品を入れて販売するといった手法です。
継続して購買するメリットを提供していく必要があります。手法としては、「ポイントインセンティブ」が代表的な例です。購入ごとにポイントが付与される仕組みで、ポイントを貯めていく楽しさも手伝って、継続的に購買へと導いていけるでしょう。重要なのは、ポイントを貯めることによって、どのような特典を得られるかを、ターゲットをイメージして吟味することです。例えば、貯まったポイントの数に応じてノベルティを提供するノベルティカタログで、継続購買を促している事例があります。また、いつでも所持しているスマホで貯められるなど、ポイントの貯めやすさにも留意してください。
そのほかの手法としては、「会員組織化」があります。会員組織化は、文字どおりファンクラブなどロイヤリティの高い顧客を組織化することで、商品に関わる情報を優先的に配信してファン化を促す手法です。ファンになっていただくことで、競合商品より自社商品を優先的に選んでいただけるようになり、結果として継続的な購入が見込めます。継続的に購入を促すには、継続購入することのメリットを提供するだけでなく、競合商品を排除して自社商品を選んでいただく仕組みづくりも重要なのです。
販促企画の立案における間違いのひとつとして、店頭POPやノベルティなど、ツールから企画してしまうことがあります。手法は目的から選定しますが、ツールは手法に応じて最も適したものを選択することが必要です。目的を意識して立案すれば、手法の選定は正確になり、手法が正確ならツールも適したものになるのです。つまり、目的を徹底して意識して、販促企画を立案することが重要なのです。販促企画の大きな4分類に関してはこちらの記事でも詳しく紹介していますので、併せてお読みください。