Webの世界ではもはや、お客さまごとにプロモーションを最適化するのは当たり前。お客さまとの接点から売上の拡大を図るCRM戦略や、それぞれの特性に合わせて個別にアプローチする「One to Oneマーケティング」は、ごく一般的な手法として日々実践されています。
一方、DMやチラシなどのアナログツールでは、汎用的な広告を一斉配布することしかできないと考えている販促担当者が多いのも事実。ところが、バリアブル印刷の技術を活用すれば、DMでもOne to Oneマーケティングを実現できるのです。
ここでは、アナログツールに限界を感じている販促担当者に向けて、プロモーションの幅が広がるバリアブル印刷の活用法を解説します。
チラシやDMの大量印刷をしていると、お客さまごとに個別の内容を刷り込みたいと感じることがあるのではないでしょうか。お客さまの特性はさまざまなのにもかかわらず、汎用的な内容を届けているだけでは、本当に訴求できているのか不安にもなるでしょう。
そんな不安を解消してくれるバリアブル印刷の特長は大きく分けて2つ。宛名などのパーソナルな情報が印刷できる点と、ターゲットに合わせた情報発信ができる点です。
バリアブル印刷なら、チラシやDMの内容を、部分的に差し替えることができます。可変内容をまとめたExcelファイルやCSVファイルを印刷会社に提供することで、1枚1枚、希望の内容で印刷することが可能。データベースから必要なデータを抽出し、セグメントされたお客さまごとに1枚ずつ、DMの内容を変えることができる印刷技術なのです。
バリアブル印刷は、宛名や住所、顧客IDや抽選番号など、お客さまごとに異なる情報を印刷する際に活用されます。毎年、何気なく依頼している年賀状印刷も、バリアブル印刷の一種。ほかにも、お客さまごとに割り当てられたキャンペーンコードやログインパスワードを通知する印刷物にも活用されます。
文字情報だけでなく、写真やグラフィックといった要素を変更することも可能なため、よりカスタマイズされたチラシやDMの作成が可能。証書やスタッフ認証カードといった名前と顔写真を差し替える必要がある、パーソナルな情報を持つ印刷物にも活用されています。
バリアブル印刷のメリットは、チラシを刷り分けることができるだけではありません。お客さまごとにカスタマイズできることから、マーケティングに活かすことができます。
電子メールを使ったeDMは、データベースから必要な情報を抽出し、お客さまごとに件名や本文を変えられるというメリットがありますが、バリアブル印刷を利用すれば、チラシやDMでも、One to Oneマーケティングの実現が可能。一斉配布の目的ではなく、個別プロモーションのツールとして、アナログツールを活用することができるのです。
従来のアナログツールは同内容・大量印刷を前提としていたため、顧客ごとにアプローチを変えることができず、効果検証が難しいとされていました。しかし、バリアブル印刷なら、セグメントしたお客さまごとにキャッチコピーやメイン画像を変更できるため、どういったコピーやチラシデザインが、商品購入・来店促進に効果を発揮するのかを測定できます。また、過去に配布したDMの反響やお客さまの購買履歴・来店頻度など、ストックされたデータベースの分析データに基づいてDM作成ができるため、よりマーケティング色の濃いDM施策を組むことができます。
さらに、セグメントしたターゲットごとに異なるWebページのURLやQRコードを印刷することで、最適なWebメディアへとお客さまを誘導することも可能。チラシのデザインやコピーライティングでABテストを試みれば、さらにマーケティングを活用したツール作成ができます。
お客さまの手元に確実に届けられるDMは、効果的なWeb集客ツールでもあります。Webは販売促進の受け皿になる機会も多く、多岐にわたる効果検証もできるため、そこへの誘導は重要なポイント。バリアブル印刷を活用すれば、ただのアナログツールのバラ撒きで終わることのない、マーケティングを加味したプロモーションを展開できるのです。
マーケティングの観点では、アナログ印刷よりWebに優位性を感じがち。ところが、バリアブル印刷の利用で、One to Oneマーケティングが実現できるようになったことで、アナログツールの価値が見直されています。
昨今の販売促進では、お客さまごとに最適化されたアプローチが重要視されています。企業側が一方的にメッセージを発信するのではなく、お客さまが聞きたがっているメッセージを届けてあげることがポイント。そのためには、お客さまの嗜好やニーズを知り、一人ひとりに最適なメッセージを発信しなければなりません。
Webだけの強みと思われていたOne to Oneマーケティングですが、バリアブル印刷の強みを活かせば、アナログツールも立派なマーケティングツールに変身。ただ単にDMを配って反響を待つ時代から、お客さまごとに個別アプローチを行い効果検証もできる、マーケティング戦略のひとつとしてDMを活用する時代になったといえるでしょう。